【デザインコラム】その「マル」が「マルい」のはナゼ?

丸い理由の説明

こんにちは、いけあつです。

ふとスマホをおいて、ぼーっとあたりを眺めたら、いろんな「マル(球と円)」があったので、ぐるぐる考えたことを書きたくなりました。

カタチあるものには、そのカタチたる理由がある

「マル」に限ったことではないんですけど、カタチあるものにはそのカタチたる理由があります。

その理由は、工学的なものだったり、デザイン的なものだったり、自然の摂理だったりと様々です。

日々、せわしなく生きている中でいろんな形に遭遇するわけですが、1分くらい心を留めて、そのカタチの理由を考えてみると意外な発見があったりして面白いんですよね。

その「マル」の理由は?

その中でも「マル」ってとても象徴的で身の回りに溢れているカタチのひとつだと思います。

この記事を書いている「今この瞬間」を切り取ってもこれだけの「マル」が見つかりました。

- 読点「。」 
- アプリのアイコン
- キーボードの「o」
- Mac Bookの電源スイッチ
- 腕時計の文字盤
- アイスコーヒーの容器のフチ
- アイスコーヒーの容器のフタ
- ストローのフチ
- アイスコーヒーの容器についた水滴
- カフェのランプシェード
- カフェの天井のスピーカー

などなど 

きりがないのでこのくらいで。

ぜんぶ「マル」といえば「マル」ですが、それぞれが「マルい」理由は同じとも限らなそうですよね。

上の例に限らず、理由ごとにわけて考えてみました。

工学的理由でマルくなった「マンホールのフタ」(エンジニアリング)

マンホールの蓋が丸い理由の説明

「マンホールのフタ」がなぜ「マルい」かご存知でしょうか?

クイズ番組で出てきそうな話です。

理由は色々あるのですが代表的なものは「ずれても落ちないため」です。

エンジニアリング、工学的な理由ですね。

「サンカクやシカクいフタ」は縦にして対角線上に置いたら落ちますよね。落ちないようにフタを穴よりも大きくつくることもできますけど、材料の無駄が多そうです。

「マル(円)」は定幅図形なので、穴よりほんの少しだけ大きい直径でつくれば落ちないうえに材料の無駄も少ないです。

つかい勝手でマルくなった「コイン、貨幣」(ユーザビリティ)

コイン・貨幣が丸い理由の説明

コイン、貨幣」は昔「マル」以外にもいろんなカタチがあったみたいです。

お金の歴史をさかのぼると、お米だったり、貝殻だったり、刀やクワの形をした金属だったりします。

その時代にみんなが欲しかったものをモチーフにしてたらしいです。

ただ、使っているうちにあることに自然と気づきます。

「このカタチ不便じゃない?」

お金が刀のカタチをしていたのは中国ですが、まあ数えにくいし、かさばるし、いれものの袋は破れるし、ポケットに入れてたらおしりに刺さって痛かったんじゃないでしょうか。

そうこうしているうちに、持ち運びやすい、数えやすい、たくさん作りやすい、、、といった使い勝手の面で今の「マルい」カタチになったという説が有力です。

つくりかたでマルくなった「湯呑み」(マニュファクチャリング)

湯呑みが丸い理由の説明

「湯呑み」を真上からみると「マルい」理由はつくりかたにありそうです。

陶芸家の方がろくろをくるくる回してつくる姿を想像すると合点がいくかと思います。

もし、真上からみて「マルくない」湯呑みをつくりたい場合、ろくろでくるくる回す以外のつくりかたを考える必要があります。

これは作りたい形のために作り方を考えたて・指定するデザインドリブンで作り方を指定するものづくりです。

デザイナーがマルくした「アナログ時計」(デザイン)

アナログ時計が丸い理由の説明

「マルいアナログ時計(針が動いて時間を示す時計)」がマルい理由はなんでしょう?

そもそも時計がマルいとは限らなくて、シカクい時計もサンカクの時計もありますね。

マルじゃなくても良いわけです。

そしたら、マルくしたのは誰でしょう?

答えは「デザイナー」です。

では、なぜ?マルい時計をデザインしたデザイナーはマルくしたのでしょうか?

おそらくその理由は無数にありますが、だいたいつぎの3つに分類されると思います。

理由①「機能に従った」

「形式は機能に従う。(form follows function. )」

ルイス・ヘンリー・サリヴァン(Louis Henry (Henri) Sullivan

デザイン史を学んだことがある人は聞いたことのあるかもしれない有名なことばです。

ルイス・サリヴァンさんはアメリカ建築の3大巨匠のおひとりで、近代以前の建築が形態を作る時に様式「歴史」を根拠にしていたことに対して「方程式を解いていくと、結果的に美しいものができる」と説いたお方です。

アナログ時計の場合、「針が動いて時間を示す」という機能があります。

この機能に素直に従ってカタチを考えると「針が動く軌跡をなぞられたマルい形こそ美しい」といった具合でしょうか。

ということで、これが「デザイナーがアナログ時計をマルくした理由」のひとつめの分類です。

理由②「感情に従がった」

このプロダクトはご存知でしょうか?

フィリップ・スタルクさんという著名なデザイナーが作ったレモン絞り器(Juicy Salif)です。

宇宙に飛んで行きそうな形してますよね。。。でもレモン絞り器です。

彼は自身にとってのデザインをこう説いています。

「歯ブラシを手にしても、歯ブラシのことなんて考えませんよね。僕なら、”どれだけよく磨けるだろう”と考える。口の中での歯ブラシの働きを理解するためには、”この口は誰の口だろう”と必ず思い浮かべる。そして、”その人は人生はどんなだろう”、”どんな社会を生きているのだろう”と思いを巡らせていく。こうしたプロセスを経てものを作っていくことが”デザイン”なのだと思います。」

引用:TED「フィリップ=スタルクがデザインを熟考する」

ルイス・サリヴァンさんのデザイン哲学「形式は機能に従う。(form follows function. )」と比べると、フィリップ・スタルクさんのデザイン哲学は「形式は感情に従う。(form follows emotion. )」と言い表せるのではないか。と、ぼくは解釈しています。

アナログ時計の場合、「針が動く軌跡は丸いかもしれない。けどそれ以上に正円はミニマルで美しい。シンプルでクリーンなファッションを好む人であれば、身につける時計はきっとマルいだろう」という理由になるかもしれません。

これが「デザイナーがアナログ時計をマルくした理由」2つ目の分類です。

理由③「制約に従った」

そしてこれが3つ目です。

工業製品など、たくさんつくるものであればるほど、この理由が占める割合が増えてくる傾向にあります。

アナログ時計のデザインで例えると「うちは時計メーカーなんだけどコストの理由で文字盤と表面のガラスはマルいものしか選べません」という制約があるからマルくした。

といった感じでしょうか。

そのカタチたる理由を考えるとデザインの視点で見えてくる

ここまで読んでいただきありがとうございます。

なぜ?その「マル」が「マルい」のか。について書いてみました。

最後の方は少し話のスコープが広がってしまいましたが「そのカタチはなんでそのカタチなのか?」といった視点で世の中を見渡してみると、そこにはデザイナーや作り手の考え・思い・ストーリーがたくさん詰まっていることに気づくかもしれません。

ここに書いたようなことを悶々と考えて何かをつくっている。

その過程がたまらなく楽しくて幸せに感じるのがデザイナーという生き物なんだと思います。

ではまた。